2019.11.20
火災保険の保険料は、建物の燃えにくさによって変わることをご存知でしょうか?
建物と一言で表しても、コンクリート造りの住宅もあれば木造住宅もあるように、燃えにくいものとそうでないものがあります。火災保険では建物の燃えにくさに応じて構造級別というランクが決定し、燃えにくい建物ほど保険料が安くなる仕組みです。
では、どういった建物が燃えにくい建物なのでしょうか。また、木造住宅のように一般的に燃えやすいとされる建物の場合には保険料が安くなることはないのでしょうか。
この記事では、燃えにくい建物の詳細や確認方法から、火災保険料が安くなる方法に至るまでを詳しくまとめました。すでに火災保険に加入している方でも保険料が安くなるケースもありますので、ぜひ最後までご一読ください!
火災保険の保険料は建物の燃えにくさを基準に決定されると言っても過言ではありません。
なぜなら判定基準として大きな役割を持つものが、建物の構造によって分けられる「構造級別」と呼ばれるものだからです。構造級別は燃えにくさを基準にして分けられているもので、建物の構造(柱・はり・外壁等)によってM構造・T構造・H構造の3種類の構造に分かれます。火災保険の保険証券等で構造級別が記載されていますので一度確認してみましょう。
保険料はM構造が一番安く、その次にT構造、最後がH構造となります。では、それぞれどのような建物がどの構造級別に該当するのか、下記で詳しく解説していきます。
M構造とは、鉄骨造、石造、コンクリート造、コンクリートブロック造で造られた耐火建築物の共同住宅で、一般的にはマンションがこれに該当します。
T構造とはM構造と同様に鉄骨造りやコンクリート造りなどの耐火建築物とされる造りで、共同住宅以外の建物、主に戸建て住宅のことです。
耐火建築物・準耐火建築物・省令準耐火建築物といった建物が対象となるため耐火構造とも呼ばれます。
M構造との違いは共同住宅であるか戸建てであるかという点が違います。
H構造とは非耐火構造のことで、T構造以外の主に戸建て住宅のことを指します。つまり、耐火建築物でない建物がH構造(非耐火構造)です。
3つの構造の中では一番「燃えやすい」とされる構造であり、代表的な住宅は戸建ての木造住宅です。構造級別の中では保険料が一番高くなります。
火災保険では、上記の3つの構造級別に分かれており、もっとも安い保険料となるのはM構造です。一方で戸建てではT構造だとH構造よりも保険料が安くなります。その理由はT構造(耐火構造)のほうがH構造(非耐火構造)に比べ燃えにくいからです。
現在、木造の戸建てにお住まいで「保険料が高いな」と感じているなら、おそらくH構造のはず。しかし、木造であるからと言って諦める必要はありません。じつはH構造であってもT構造になる可能性があるのです。それはなぜか?下記で詳しく解説していきます。
上記で、H構造であってもT構造になる可能性があると述べました。
もしT構造になれば保険料が安くなるので、その分家計負担を減らすことができます。長期契約となることの多い建物の火災保険では少しでも保険料を安く抑えたいところですよね。
しかも、これからお話することはリフォームや建て替えのように、大幅に構造を変えるといった大げさな話ではありません。では建物の構造を変えずに、構造級別を変えるとはどういうことなのでしょうか。
次の項目で具体的に解説していきます。
まず、構造級別を判定する基準として、建物が耐火基準を満たす「耐火構造」であるかどうかが大きく関わってきます。火災保険で耐火構造となる建築物には、耐火建築物の他に、準耐火建築物・省令準耐火建築物という全部で3つの基準があります。それぞれの詳細を一覧にしたものが下記の表です。
耐火建築物 | 建築基準法の第2条第9号の2で定められた耐火建築物のこと |
---|---|
準耐火建築物 | 建築基準法の第2条第9号の3で定められた準耐火建築物のこと |
省令準耐火建物 | 建築基準法で定められた準耐火構造と同等の防火性能のある構造として、住宅金融支援機構が定める基準に合致した住宅、または同機構が承認した住宅のこと。 2×4(ツーバイフォー)やプレハブ工法等の建物が該当する。 |
ここで注目したいのが、ツーバイフォーの建物である場合。現在、住んでいる住宅がツーバイフォー工法による建築であればT構造となりますが、なんと保険会社がその判別を間違っている可能性があるのです。
なぜならツーバイフォー工法であるか否かは見た目での判別が難しいからであり、実際に2006年にはツーバイフォー(2×4)住宅の構造級別の判定の誤りによって、保険料の取り過ぎが問題になりました。本来であればT構造での契約が可能であるにもかかわらずH構造として契約しているケースが非常に多かったのです。
そのため、現在ではほぼ全ての保険会社で新規加入する場合に耐火建築物の確認書類の提出が必要となっています。
では、住宅が耐火構造であるかの確認は、どの書類でどのようにすればよいのでしょうか?次の項目で詳しく見ていきましょう。
現在お住いの住宅やこれから購入予定の住宅が耐火構造であるかの確認方法は以下の3通りです。
それぞれの方法について解説していきます。
建築確認申請書は、建築をする建築主が役所や指定検査機関に対して、建てる建物が建築基準法や条例に反していないことを証明するために提出する書類です。
耐火基準に適した建物である場合は、この第四面の「耐火建築物等」という箇所に、【準耐火、耐火、イー1、イー2】と記載がされています。
建築確認申請書が手元にない場合や、見方がよくわからないといった場合には建築会社や販売会社、住宅メーカーなどに直接問い合わせることが何より確実な方法です。中古住宅の場合には、売主や販売店に確認しましょう。
省令準耐火建物の場合は、建築確認申請書であっても明記がされていないことが多く、設計図面や販売チラシなどに「省令準耐火」の記載があるかがポイントです。
図面や販売チラシに記載のある場合には、建築確認申請書とあわせて提出することで申請することができます。図面や販売チラシがない場合には、建築会社に問い合わせてみましょう。
上記で、耐火構造とその種類のことがおわかりいただけたかと思います。
しかし省令準耐火構造の場合は、建築確認申請書でも明記されておらず、「耐火基準に適合しているのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは省令準耐火構造の種類とその確認方法について詳しく見ていきましょう。
まず、省令準耐火建物には
という3つの特徴があります。
まず外部からの延焼防止ですが、これは近隣の家が家事になった場合であっても、もらい火を防げるような性能になっているかということです。
例えば、屋根が瓦やスレートのような燃えにくい材質であったり、外壁が防火サイディングになっていたりと、耐火性能が高い仕様になっている必要があります。
各部屋に防火措置が取られていると、火災になった場合でも一定の時間は燃え広がることを防げます。
省令準耐火建物は各部屋を区画した防火構造になっており、壁や天井は燃えにくい石膏ボードなどを使用した建物です。したがって、部屋から火が出て梁や柱といった構造部分への延焼に至るまでの時間を稼ぐことができます。
従来の木造住宅では天井裏や壁から燃え広がってしまいます。一方、省令準耐火建物では部屋から火が出てしまっても家全体への延焼を抑えるため、火の通り道となる部分にファイヤーストップ材が設置されています。
省令準耐火建物の耐火時間は45分から1時間程度の場合がほとんど。これは以前の火災保険の構造級別でA~Dまであるうちの、A構造・B構造にあたります。
省令準耐火建物となる可能性の高い建物で代表的なものが、ツーバイフォーの住宅と、住宅メーカーの提供するプレハブ工法で建てられている建物です。
両者は住宅金融支援機構の基準に合致し、建築基準法における耐火性能を持つ構造である場合がほとんどです。
火災保険で省令準耐火建物の場合、構造級別の判定をするために書類の提出が必要です。
しかし省令準耐火建物を購入しても、中古住宅の場合には建築確認申請書や設計図面・販売チラシといったような資料がないこともあります。
その場合は、建築会社や販売業者、住宅メーカー—に問い合わせて必要書類を提出してもらうようにしましょう。
いかがでしたでしょうか?火災保険は建物の燃えにくさが保険料決定のポイントになります。燃えにくい建物ほど保険料は安くなるため、これから住宅の新築や購入を検討している人はその点も検討材料の一つとしてみてはいかがでしょうか。また、現在契約中の火災保険がH構造であっても、構造級別の判定が誤っている可能性もありますので、一度火災保険の契約内容と住宅の構造を確認してみましょう。
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