2018.07.14
火災保険の風災・雪災・ひょう災補填を利用しての屋根工事は近年自然災害が多い中、被保険者にとってはとてもありがたい内容です。
保険適用されるには特定の自然災害であることや保険業者、第三者機関がそれを認めることにあります。
屋根の中にもとりわけ自然災害を受けやすい部位があるため、どうしても適用される部位は特定のものになってきます。
今回は火災保険を利用しての屋根工事で適用案件が多い部材について部材の役割や材料、なぜ火災保険を適用しやすいのかを解説致します。
Panasonicの雨といホームページから出典 https://sumai.panasonic.jp/amatoi/aian/
雨樋は屋根の水下をぐるりと囲っており、屋根に降り注いだ雨水を適切に排水するための部材です。
住んでいるとあまり気にする事のない部材ですが実は火災保険の適用屋根工事の件数としては最も多いのです。
気にすることが普段からあまりないからこそ放って置きがちになってしまう雨樋、適切な知識を身につけましょう。
一見地味に見える雨樋ですが雨水が建物の一部に過度に集中したり、建物を過度な雨水から守る日本ならではの大事な役割。
雨樋は軒樋と縦樋に別れており、屋根の水下で屋根から流れてくる雨水を受け止めるのが軒樋、軒樋を流れてきた雨水を1箇所に集めて建物の壁に沿って地面の特定の場所に導くのが縦樋です。
雨樋がないと屋根から一直線に雨水が落下するため、屋根の線上に雨水の跡ができたり、泥が跳ねるため壁に汚れがつきます。
ガーデニングをやっている方にとっては雨水の強烈な落下は植物にとって敵となり得るでしょう。
最も怖いのは雨樋が壊れていることにより、建物の一部に過度な雨水が集中し建物内部に侵入し雨漏りとなって現れてしますことです。
雨漏りは部屋のシミになるだけでなく、水分に弱い建物の壁の中を侵してしまいます。
一度建物の壁の中を水分が侵入してしまうと、一度壁を壊して中を修復する必要があり大変危険です。
最も一般的なのは塩化ビニールです。広く普及されているため、安価で手に入りますが、耐久性はそこまで高くなく劣化が早いです。とは言え種類や形状、色などが豊富で流通量が多い素材。
合成樹脂の素材も最近増えてきました。
塩化ビニールよりも直射日光による劣化に対して耐久性があるのが特徴です。
しかし、まだ手に入りづらいため価格は塩化ビニールのものよりも少し高めで、種類や色なども少ないです。
ガルバニウム鋼板は金属製の中で最もお手頃です。
ガルバニウムは建築材料として屋根や外壁材として広く普及されているだけに価格も安定しています。
塩化ビニールよりも若干高めですが耐久性に優れていることから近年増えています。
最も適用件数が多い雨樋、その理由の多数は雪災です。
雪が多く降らない地域では大雪への対策をしていません。
屋根に積もった大雪が滑り出し、軒樋をその勢いで破壊してしまうのです。
雪で破壊された軒樋は破壊形状が典型的で立証しやすいのが特徴。
誰がどう見ても雪による災害とわかりやすく、その分保険も適用されやすいです。
これに気づかず放っておくと雨漏りして内部にまで被害が及んでしまいます。早期発見、早期対応が何より大切です。
軒天は軒の裏側のことです。
地面から屋根を見上げたとき屋根の裏側が見えますよね、それを軒天と呼びます。
どんな屋根の形でも少しでも軒が飛び出していれば必ず軒天はあるもの。
普段あまり気にする事のない軒天も実は火災保険適用が多いです。
軒天は屋根の内部を守る役割を持ちます。
外部からの何かしらの侵入の役割はもちろん、法的に火災に強い部材が要求されます。
軒から炎が侵入して屋根の構造物にダメージを与えてしまって倒壊した建物が過去に多かったことを理由に法的に性能が定められた過去があります。
施工はしっかりと釘で隙間がないように留められます。
防火性能が要求されるため、外壁材で多く普及している窯業サイディングが多いです。
窯業サイディングは現在の住宅の外壁材の大半に使用されている材料でセメント質と繊維質を原料として板状に整形されたものです。
デザインの種類も多いためシンプルなものから、木目調の軒天などもあります。
軒天はいくつかのサイディングを貼り合わせて全体を施工します。
そのため必ず継ぎ目が発生します。
通常は問題ないのですが雨樋が壊れ、軒天の一部に雨水が集中し、その場所が軒天の継ぎ目であったりするとそこから雨水が入り込みます。
軒の内部は大抵が木材でできており、軒天を留める部材も木材です。
侵入した雨水が次第に軒の内部の木材を蝕んでいきます。
またそこから外壁の中にも雨水が伝わっていきやすいので室内の雨漏りにも繋がります。
弱くなった部分が台風などの強風によって剥がれたりしてしまいます。
このように根本の原因が雨樋とはっきりし、軒天にもシミが残りやすいため火災保険が適用されやすい理由です。
漆喰と言うとと屋根に関係なさそうですが特定の屋根には関係あります。
もともと漆喰は瓦とそれを支える材料の接着や壁の上塗りに使われてきました。
その歴史は古く5000年前から利用されてきた材料。
最近建てられる建物には使用されなくなってきましたが、少し前の建物や伝統的な手法の建物には使用されます。
屋根の頂点である棟を棟瓦と呼びます。
棟瓦を支え、接着するために屋根瓦と棟瓦の間に漆喰を詰めます。
漆喰は自然災害、あるいは経年劣化でずれたり、欠けたりします。
漆喰が崩れてくるとそこから雨水が入り込みさらに漆喰が崩れます。
漆喰は棟瓦を支えているので漆喰が崩れると棟瓦も崩れる危険性があります。
そのほかにも漆喰の欠けから雨水が屋根の内部に侵入し雨漏りの原因にもなり得ます。一般的に15年に一度補修が必要です。
従来の漆喰は石灰系が多かったですが、近年は白セメントを主成分としたものが増えてきております。
現場で水と練り混ぜて施工します。防水性、付着性、耐久性、強度が必要とされる部材。
雪の重みや台風などの強風で棟瓦がずれると同時に漆喰も崩れます。
一度崩れると元に戻る材料ではないため小さな亀裂からどんどん傷口が広がっていってしまいます。
もともと修復が容易であることが前提の材料でもあるため打撃などにはある程度強いですが接着している棟瓦や屋根瓦がずれるとそれに準じてしまいます。
そのため強風や雪の被害を受けやすい棟部材と同様に被害がわかりやすく火災保険が適用されやすいです。
棟とは屋根の頂点の部分のことで、棟板金は棟を上から覆う部材です。
先ほど紹介した棟瓦と用途は同じ部材。
最近は屋根材もカラーベストや平瓦、ガルバニウムと伝統的な波瓦はあまり使用されなくなってきました。
瓦であっても棟部材は棟瓦でなく板金にするなど、現代の9割程度の住宅の棟部材は板金です。
屋根の頂点を上から覆い、雨水の侵入や外的な衝撃から棟を保護する役割です。
切り妻屋根には棟は一つですが、寄棟屋根には棟は最低でも4本でてきます。
谷棟と隅棟は特に雨水が侵入しやすい形状のため、その分施工も慎重になる場所です。
材料は板金というだけあって金属であり、ガルバニウム鋼板が多く使用されます。
加工しやすく耐久性も良く、多く流通しており安価であることがガルバニウム鋼板が多い理由です。
棟板金は強風や大雪などの影響でめくれたり、歪んだりします。
板金を留めているのは釘ですが、釘が劣化するとなおさら衝撃に弱く、自然災害のきっかけでダメージを受けます。
強風や大雪で壊れた板金の形状は典型的で、誰から見ても自然災害とわかりやすいため火災保険が適用されやすいです。
火災保険が適用されやすい部位の解説、いかがでしたでしょうか。
全体の事例のうちこれらは実に8割程度を占めるぐらい多いです。
室内の以上は気付きやすいですが、屋根の異常は言われない限り、気づくのはなかなか難しいのが特徴と言えます。
気づかず放っておいてしまうと雨漏りに発展するなど大変なことになりがちな屋根の異常、少し以前より気にして見てはいかがでしょうか。
屋根は建物を飛来物や雨、直射日光から守る大切な役目を持っています。そんな大事な屋根の寿命を少しでも伸ばすのは日々のメンテナンスであることは言うまでもありません。
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