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保険申請をする際に現地鑑定をする損害保険登録鑑定人とは?

2018.06.28

はじめに

火災保険の損害額はどのように決まるかご存知でしょうか?
基本的には保険会社への申請を元に支払われますが、50万円から100万円を超える大きな金額となる場合や被害写真の判定が難しい場合など第三者である鑑定人によって判定されることもあります。

しかし鑑定人の判定次第では災害での損害と認められず保険金が「ゼロ」で終わってしまうことも。
そうなると家計負担が一気に増えてしまい、火災保険に加入していた意味がまったくありませんよね。

では判定に納得がいかない場合にはどのような対応ができるのでしょうか?判定を覆すことはできるのでしょうか?
この記事では、鑑定人の概要から保険金がおりない場合の対処法に至るまでをまとめました。
ぜひ参考にしてください!

火災保険の保険金支払を決めるのは鑑定人

火災保険金の支払を決定づける重要な人物が「損害保険登録鑑定人」です。
鑑定人は保険会社の要請で鑑定をしますが、保険会社の社員ではなく第三者機関から派遣されます。
その目的は公平・中立な立場で損害鑑定や評価鑑定、事故調査を実施するためです。

では鑑定人とは具体的にどのような資格や役割を持っているのでしょうか?具体的に解説していきます。

鑑定人にはランクがある

鑑定人は日本損害保険協会の実施する試験に合格し、一般社団法人日本損害保険鑑定人協会という協会に属している人のことで、現在は983名がいます。
鑑定人資格は

  • 1級鑑定人
  • 2級鑑定人
  • 3級鑑定人

と3つのランクに分かれており、合格率は「1級5~10%、2級10~20%、3級20~30%」と、難易度は徐々に上がっていきます。
現在の会員所属鑑定人数のそれぞれの内訳は下記表の通りです。

会員数および会員所属鑑定人数
会員数 63会員(2019年11月1日)
会員所属鑑定人数 983名
1級鑑定人 114名
2級鑑定人 394名
3級鑑定人 475名

出典:https://www.kanteinin.or.jp/about/purpose.html

鑑定人の役割

鑑定人の役割は大きくわけて3つあります。

損害鑑定

火災や自然災害などで発生した損害額の算出や、保険商品の内容に応じた損害内容の確認をします。
損害鑑定では、適正に支払保険金を算出することだけでなく、算出した保険金が滞りなく保険会社から加入者に支払われるようにサポートすることも鑑定人の役割です。

評価鑑定

各種ビル、工場、プラント施設等、幅広い物件を対象として保険価額の評価をします。
この評価額を元に保険会社と保険金額の設定をしますが、一般住宅で火災保険に加入する際は購入金額などをもとに契約者が自己申告する場合がほとんどです。

事故原因の調査

保険の契約内容と事故内容が支払いの対象となるか確認するため、火災事故を始めとした様々な種目で事故調査をすることがあります。

鑑定人を通さない場合もある

損害認定には鑑定人の判定が原則として必要となりますが、以下のような場合は鑑定人の判定を通さずに直接保険会社とのやり取りのみで完結することがあります。

被害総額が少額である場合

被害額が少なく小規模な損害の場合や、鑑定人の判定をするまでもなく明らかに被害を受けたことがわかる場合には鑑定が省略されるケースもあります。

被害が地域全体に渡るなど甚大な場合

地震保険を例にすると、2011年の東日本大震災のように災害箇所が地域全体に及ぶような場合は、鑑定人の判定を1件1件していると莫大な時間がかかってしまいます。
したがって保険金の支払いまで迅速に対応するため、地区ごとに全損や半損、一部損といった損害認定がおこなわれました。

火災保険の判定に納得がいかなければ再鑑定もできる

火災保険を申請してもすべての申請が通るわけではありません。
保険会社から通知された保険金の額が少ない場合や、保険金がまったく支払われないケースもあります。
保険金がゼロになることは「無責」と呼ばれ、火災保険請求では無責となるケースも少なくありません。

無責となった場合、それで納得できる人はあまりいないはずです。
そこでここでは、無責と判断されたあとでも「有責」になる可能性のある対応方法を紹介します。

日本損害保険協会に相談する

出典:http://www.sonpo.or.jp/efforts/adr/

ひとつめの対応策として有効なのは、ADRの活用です。
ADRとは、「Alternative(代替的)」「Dispute(紛争)」「Resolution(解決)」の略で、訴訟手続きによらない紛争解決方法です。
ADRを活用するメリットには次のようなことがあげられます。

  • 手続きが簡単でスピーディー
  • 弁護士や業界に詳しい中立的な立場にある複数人のサポートが受けられる
  • 第三者を介入させることで冷静な対応が可能になる
  • 相談費用が無料(交通費や証拠書類の準備にかかる費用などは除く)

裁判をするとなると、手続きや準備、弁護士費用などが大変になりますが、ADRは裁判ではなく調停という形式であるため、紛争解決までのスピードが早く、費用も抑えることができます。

損保業界では2010年10月に発足しており、火災保険のほかに、自動車保険全般、傷害保険、第三分野保険、ペット保険などを受けつけていますので、ぜひ利用してみましょう。

再鑑定を依頼する

つぎに再鑑定を依頼する方法です。
無責で終わったとしても判定や鑑定内容に納得がいかない場合には、再鑑定することで有責となるケースがあります。

というのも、保険鑑定人の鑑定方法には明確な基準がなく、これまでの経験を元に査定するため個人差が生まれてしまうというのが現状です。
その結果、鑑定人を変更して再鑑定することで有責となったというケースは非常に多くあります。
再鑑定を依頼する際には変更理由が必要となりますので、下記のようにしっかりと述べましょう。

  • 鑑定結果などを提示してくれない
  • 理由の説明がわかりづらく不明確である
  • 経年劣化の一点張りで話が進まない
  • 質問に対する返答があやふやで的を得ない
  • 態度や言葉が常に否定的。最初から保険金を出さないといった非協力的な対応をされた。

上記のような著しく対応が悪いと感じられる鑑定人の場合は、速やかに変更してもらいましょう。

火災保険の保険金が支払われないケース

火災保険金の受取りには損害認定を受けなければいけません。
保険会社によって様々ですがその損害認定の判断基準となる判定は第三者である損害鑑定人によっておこなわれる場合があります。

鑑定人の判断によって保険金の支払い対象とならなければいわゆる「無責」という扱いになり、保険金は支払われません。
では具体的にどのようなケースが無責にあたるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

経年劣化

無責となる判定の原因でもっとも多いケースが、経年劣化による損害と判定されてしまうことです。
経年劣化による損害は、火災保険では補償の対象外となっているため、その判定をされると保険金の支払対象外となります。

補償対象となる災害が原因ではないもの

「台風でもともと窓ガラスが割れている部分から水が浸入し家財道具に損害を受けた」といったような、直接の原因が台風ではなく、窓ガラスが割れていたことが原因であると考えられる場合も補償対象外となります。
鑑定した結果、このような直接の因果関係がないと判定された場合は支払対象となりません。

交渉次第で支払われる保険金額が変わることも

保険金が少額や無責になった場合には、納得がいくまでしっかりと交渉するという姿勢を持つことが何より大切です。交渉することで保険金の支払額が大幅に変わることもめずらしくありません。
以下で具体的に無責が有責になった事例や、金額が大幅に変わった事例を紹介します。

無責が有責になった事例

このような鑑定人がいるかと思うと、少し信じられませんが実際にあった事例です。

ケース1

鑑定結果の理由なし。社内で確認したので細かい理由は言えない
⇒鑑定会社を変更することで有責に

ケース2

雨どいの破損原因について、雪の重みではなく太陽熱で曲がったとされる
⇒メーカーに問い合わせ立ち合いのもと再鑑定し有責に

ケース3

屋根材が飛ばないと保険金はおりないと言われた
⇒約款にそのような記載なし。担当者に交渉の上、有責に

支払金額が変更になった事例

雨どいが自然災害で破損。全体37mのうち8mのみの損害しか認められず、他の箇所は太陽熱が原因によるものとして保険金が5万円のみ支払われた。

⇒再鑑定の結果、雨どい全体が認められ保険金が5万円から約50万円にアップした。
こういった事例を見ていると、全部が全部ではないですがごくまれに素人目にはわからないだろうといった足もとを見たような対応もあったりします。

火災保険を使った修理は専門業者に依頼する

ここまで、火災保険の鑑定人の現状と、無責の場合の対処法について解説しました。
保険業界全体では、2007年、8年に不払い問題が社会問題になったこともありましたが、実際に無責となった事例を見てみるとまだまだその影が少しあることが伺えますね。

火災保険は加入していても実際に損害が起こり、保険を活用する場面に出くわすことが少ない保険です。
そのため、自動車保険などにくらべて保険請求において実際に請求をした事が無い方が一定数いる現状です。

自動車保険では、自動車会社が保険請求手続きまで対応をするのが一般的です。
また生命保険や医療保険であれば医師がおこないます。
しかし火災保険は専門会社ではなく、知識のない一般の加入者が自ら申請することがほとんど。
そのため、鑑定人の判定に反論や交渉ができないケースが多くあります。

現在は火災保険を使用した修理やリフォームのできる専門業者も数多くあるため、ぜひ利用してみることをおすすめします!

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リフォーム業界は不透明で業者選びなどは特に様々な情報を集めて比較検討したいという思いは皆さま共通してあると思います。 ワンストップ復旧は保険申請サポートを専門にしている修理業者の集まりで、保険適応専門の屋根修理業者を始め、保険会社代理店、損害保険鑑定人、 など様々な方々からの意見を集約し、一人でも多くの人にご加入の火災保険で保険給付金を適正金額で受け取れるように、一連の流れの適切な情報を ワンストップで詳しく解説しております。 他にもリフォーム関連の住宅に関する補助金制度、リフォーム減税、エコ関連など実際に申請をすれば時間とお金の節約に役立つ情報などもご提供しておりますので是非ご覧下さい。

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