2019.11.22
不動産会社の間取り図などで、ベランダやバルコニー、テラスといった記載を見たことはないでしょうか?
それぞれ何となくイメージはできますが、具体的な違いはわからないという人も多いのでは。
それもそのはず、この3つの違いを決定的に分ける具体的な定義というものは基本的に存在しないのです。
しかし近年ではその3つの違いが、一般的に定義づけられ使用されています。
そこでこの記事では3つの違いから使用用途にいたるまでをまとめました。
ベランダ・バルコニー・テラスは建築法などで具体的に定義されているものではありません。
そのため昔は一般的に2階以上の階にあればベランダと呼ばれ、1階に土ではないコンクリートなどの広場があればテラスと、なんとなく呼ばれていました。
近年では長屋がテラスハウスと呼ばれるようになったのと同じように、不動産会社のイメージ戦略のもと、バルコニーという言葉が使われ広まっていったのです。
そのためこれが定義だと言い切ることのできるものは存在しません。
ここでは一般的な視点から、現在ではそれぞれがどのような定義のもと使い分けられているのかを解説していきます。
出典:https://www.lixil.co.jp/lineup/veranda_balcony/viewstage_s/
ベランダは家屋に沿って外に張り出した屋根付きのスペースです。
この「屋根の付いているところ」というのが大きなポイントで、屋根のないスペースが2階以上にあればバルコニー、1階にあればテラスという切り分けとなっていることがほとんど。
意外ですが厳密に言うと、1階部分であっても屋根付きのスペースはベランダになります。
あくまでも屋根付きのスペースであることがポイントで階数は問わないようです。
屋根付きのスペースがあればある程度の雨がしのげ、真夏は強い日差しを防ぐこともできます。
そのためベランダに出しておくことの多いコンテナや洗濯機などの劣化も防ぐことができますし、夕立などの突然の雨でもベランダであれば洗濯物が濡れてしまう心配もありませんね。
https://www.lixil.co.jp/lineup/veranda_balcony/balcony/#section_01
バルコニーは、屋根のない2階部分の建物から突き出した手すり付きのスペースのことです。
ポイントとなるのは
の3点です。
なお、下記のように1点だけ、バルコニーの定義となる法律が建築基準法で定められています。
“第百二十六条 屋上広場又は二階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが一・一メートル以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。”
ご覧いただくとわかるように、バルコニーのみにある絶対的な定義は、安全上の観点から手すりや壁、柵、金網の設置が1.1メートル以上の高さで設置されていることです。
出典:https://www.hng.ne.jp/case_detail87-1.html
テラスとは、古いフラン語で「盛り土」という意味があり、家屋の母屋から突き出した屋根のないスペースのことをいいます。
地面から少し高くなっているのが特徴で、バルコニー同様に屋根はありません。
そのため2階の屋根のないスペースはバルコニー、1階にあるとテラスにと呼び名が変わると思ってよいでしょう。
バルコニーは安全上の観点から手すりなどの設置が必須となりますが、テラスは1階のため手すりなどの設置は義務付けられていません。
これまであやふやだったそれぞれの定義も、上記のように現在の定義で紐解いていくとかなり明確になってきました。
2階の建物に沿って突出したスペースがバルコニーで、1階にあればテラス。
さらに屋根がついたらベランダです。切り分けはバルコニーが基本となっていることがわかります。
出典:https://www.0003.co.jp/aruaru/topics07.html
マンションの突出したスペースのことをベランダと呼んでいた人も多いのではないでしょうか。
実はこのスペースは見解によってはバルコニーであるともいえます。
その理由は、スペース上部にある屋根は上階の床面であり、スペースのために作られている屋根ではないからです。
この定義でいうと、ベランダと呼べるのは一番上の階だけということになります。
この床面を屋根と見るか足場と見るかで見解が分かれているようです。
出典:https://www.aloha-street.com/article/2012/08/130081/
これまでに聞きなれている言葉でもあるせいか、ベランダというと古くて狭いマンションの小さなスペースなどを想像しがちですが、海外では高級な部類に入ります。
というのも上記で述べた違いからもわかるように、スペースがあるだけでなく屋根が付いているのがベランダで、バルコニーやテラスとくらべ実質的に設備として整っているからです。
そのため日本でのベランダのイメージとは違い、海外では高級感を持たれているようです。
ベランダ・バルコニー・テラスの大まかな違いはわかっていただけたのではないかと思います。
しかし和風住宅である縁側(えんがわ)や近年人気のあるウッドデッキなどはどの分類になるのでしょうか。
それぞれの分類に当てはまるものを一覧にしました。
ベランダ | バルコニー | テラス |
---|---|---|
・縁側 ・サンルーム ・屋根のある玄関ポーチ |
・ルーフバルコニー ・花台 ・サービスバルコニー ・劇場のバルコニー席 |
・ウッドデッキ |
このようにそれぞれの定義に当てはめていくと、違いがさらに明確になりイメージしやすくなりますね。
不動産会社の見取り図などを見るときなど、是非参考にしてみてください。
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